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「箱根駅伝のランナーに選ばれなくてもいい」 後発で厚底シューズ開発に参入したデサントの勝算

今年の箱根駅伝では緑色のナイキの厚底シューズが目立った(2日の往路スタート直後。時事通信フォト)

今年の箱根駅伝では緑色のナイキの厚底シューズが目立った(2日の往路スタート直後。時事通信フォト)

 今回の箱根駅伝は、特に緑色の「ナイキの厚底シューズ」を履く選手が目立っている。2017年夏に「ナイキの厚底」が発売されて以降、陸上長距離界のシューズには革命的な変化が訪れた。正月の風物詩である箱根駅伝の選手たちの足元も一時はナイキが独占。それを受けて他メーカーが厚底シューズ開発に乗り出し、昨年からはトップ選手のなかでもナイキ以外のメーカーがシェアを少しずつ奪還する動きもある。そうしたなか、他とは一線を画すシューズ開発戦略を掲げるメーカーも出てきた。

 2017年に「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」が発売されて以降、陸上長距離界を“厚底ブーム”が席巻している。トップ選手たちは相次いでナイキを選択するようになり、最新モデルが登場するたびに注目を集めた。他メーカーも指をくわえて見ているわけではなく、アディダスやプーマ、アシックスなどが厚底シューズを開発。2022年9月にはミズノも厚底のランニングシューズを発売した。同11月の全日本大学駅伝の出場選手の足元を見ると、依然としてナイキのシェアが圧倒的だった一方で、アシックスやアディダスを着用する選手が区間賞を獲得するなど、ナイキ1強の勢力図に少しずつ変化が生じているようだ。

 多くのメーカーが開発を進める「厚底全盛」の時代を迎えているが、一方で弊害やリスクがないわけでもない。シューズのソール(底)に高反発のカーボンプレートを使うことなどで推進力を得られるのが厚底シューズの強みだが、故障リスクにつながるとの指摘もある。トップ選手400人を対象としたアンケート調査では、厚底を着用した期間は股関節の故障が2倍超に増えるという結果が出たものもある。スポーツ紙デスクが言う。

「2022年6月から母校・早稲田大の監督に就任した花田勝彦氏は、チーム内にあまりに故障者が多かったことから、夏合宿では厚底シューズの使用を原則禁止する措置を取った。シューズに頼らない地道なトレーニングで脚力を鍛えたことで、予選会を突破するなどの結果につながった。トップ選手でも高機能のシューズに頼ってばかりでは故障リスクが生じるわけだから、市民ランナーが流行に乗って厚底シューズを買っても、うまく使えなかったり、ケガにつながる恐れがあります」

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