家庭裁判所は「(額について)協議、又は審判があった後事情に変更を生じたとき」には、養育費の額の変更を認めます。
よって養育費の額を決めた時点では、予想されていなかった失職で収入を失った場合であれば、変更が認められる可能性があります。ただし、気になるのは、あなたが失職して働く意欲を失っている点です。養育義務がある以上、わがままはいえません。過去にも「合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情により本来の稼働能力を発揮しておらず、そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合」において、賃金センサスの統計額相当の収入があるとして負担を命じた家庭裁判所の審判がありました。
努力しても就業できない事情などがない限り、失職による減額は期待できません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号