「先述したように現場と管理の両方を任される日本の管理職は、ストレスから、がんにもなりやすいと考えられます。また建設・採掘職の死亡率は1.35~1.61倍とも示された。これは高レベルの粉塵に晒されるなかで働くため、発がんリスクが高くなったと考察しています」(江口氏)
反対に、寿命が長いとされる職業もある。
1989年に郡山女子大学の森一教授らが10種の職業3515人の平均寿命を集計(1927~1979年)したところ、長寿ナンバーワンに輝いたのは、僧侶などの宗教家(平均寿命75.6歳)だった。
ちなみにワースト3は詩人(同57.7歳)、小説家(59.0歳)、芸術家(64.7歳)だったと示している。江口氏が語る。
「推測ですが、僧侶は規則正しい生活で暴飲暴食をせず、健康的な生活を送ります。また日常から精神を一定に保とうと試み、ストレスへの対応に長けていることも長寿の秘訣なのかもしれません」
健康長寿には心の平穏と体のゆとりが欠かせないようだ。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号