もし、雑木林が無価値なのにAが高額だと、お母さんを少ない金額(500万円―A万円)の持ち出しで、甲土地を取得できるとだまして、500万円で安価な土地を売りつけたとも考えることができます。業者は、実は価値のない甲土地を高値で売りつけることが目的だったのではないでしょうか。
雑木林の売却で発生する税金問題とは譲渡所得税のことだと思いますが、事業用地でも住宅用地でもない雑木林の買い替えによる譲渡所得税の軽減はありません。これも甲土地を買わせる手口のように思われます。
バブルの頃、「原野商法」といって価値のない土地を将来値上がりするとだまして売りつける悪徳商法がありましたが、その被害者が再び原野商法の餌食になる二次被害が増えています。もし、お母さんの雑木林が原野商法で売りつけられたものとすれば、一層悪質だと思います。
音信不通の業者からの回収は期待できません。しかし、原野商法として不法行為が認められるケースが多いので、実際に営業をした従業員、原野商法を推進した社長や経営陣に対する損害賠償請求も検討できます。消費生活センターなどに相談するのがよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年2月2日号