中国政府は1月8日、入国者に対するPCR検査、集中隔離措置を廃止、これまで厳しく規制してきた省を跨いだ移動、国家間の移動を原則自由とした。この制度変更によって、春節休暇となる1月21日(土)から1月29日(日)にかけて、3年ぶりの“人民大移動”が発生する見込みだ。
中国出境旅行発展報告(2020)や中国本土マスコミ報道などによれば、新型コロナウイルス流行前の2019年における中国国民の出国人数は延べ1億6900万人で世界第1位、世界全体の国際旅行支出に占める中国の割合は5分の1に迫る金額であった。
旅行大国の海外旅行解禁とあって、世界の旅行関係者は特需の発生に大きな期待を寄せているものの、そのビジネス環境は各国政府の対応の違いによって大きく明暗を分けている。
まず、国を挙げて歓迎の意を表しているのはタイである。
269名を載せたアモイ航空MF833便が1月9日午後、バンコク・スワンナプール国際空港に到着した。制度変更後、中国旅行客の初の到着とあって、アヌティン・チャーンウィラクン副首相兼保健大臣をはじめ、旅行・スポーツ、交通関連を統括する省の大臣たちが、「中国、タイは一つの家族」と書かれた横断幕を背景に、花束、記念品を携え、中国の“朋友”を熱烈大歓迎したそうだ。
タイの他には、カンボジア、オーストラリア、ニュージーランドなどが中国旅行客の受入れに積極的だ。