最近、若者たちの間で「あえて風呂なし物件を選ぶ」というライフスタイルが人気化していると複数のメディアが報じ、注目を集めている。報道によると、レトロブームやミニマルライフなどがトレンドとなっていることを背景に、最小限のモノを中心とした“持たない生活”を送る若者が増えているのだという。家に風呂がなくとも近所の銭湯を利用したり、またジムなどの施設にあるシャワーを活用したりすれば困らない、という内容も紹介された。
こうした報道に対して、「若者の貧困」という社会問題を趣味嗜好の問題に転嫁し、経済的な課題を不可視化しているという批判も出ている。実際に一人暮らしをしている学生たちの間でも違和感は大きいという。
北陸出身で、上京して都内の私立大学に通っている男子学生・Aさん(20歳)はこう語る。
「このニュースを見て最初に感じたのは、『いや、純粋に銭湯利用したら高くない?』ということです。仮に週5回利用したら、銭湯代だけで月に1万円かかりますよね。しかも銭湯のドライヤーって有料だし、飲み物とか買ったら1回500円以上の出費になりますよ。夏場は汗もかくし毎日利用したいけれど、銭湯にも定休日があるので、そうなると少し遠い銭湯まで足を伸ばさなければならない。
大学生になると多少はオシャレにも気を使い始めるわけで、女子たちに『臭い』と思われたくないですし……。記事の中に『ジムのシャワーを利用』とありますが、そもそもジムの月額料金は高いですよ。それを払える人は、普通に考えて風呂なし物件を選びませんよね。記事の内容にはかなり違和感を覚えました」(Aさん)