到着後の日産の氷上試乗会では、まさにスケートリンクのような氷上で試乗しましたが、ここでもブリザックVRX3はしっかりと安定走行を実現し、雪国での信頼性が高いことを理解させてくれました。
今回の取材行の総走行距離は686.1km、そのうち40%が積雪や凍結路でした。常日頃、燃費のいいフィットですが、雪道にスタッドレスでは燃費も少し落ちると覚悟はしていたものの、19.7km/Lを達成しました。ドライ路面での使い勝手に大きく影響を与えないという仕上がりの良さの一端を見せてくれました。
使用状況でコスパ優先もありか
これほど安定感のあるタイヤですから是非に、と勧めたいのですが、実は価格面で見るとちょっと高めです。そこでコンパクトカーに多い「175/65R15」というサイズで各社のスタッドレスタイヤ1本の価格をネットで比較してみました。
するとブリザックVRX3は「1万2200円」。この価格より高価なのは、VRX3と同じように高評価を得て人気も高い「ヨコハマ」の「iceGUARD7 iG70」の「1万4527円」。もし、どうしてもブリザックをということであれば、VRX3が登場するまで最上級モデルとして人気だった「VRX2」が「1万350円」で購入可能です。
つぎに他ブランドを見ると、ほとんどがブリザックよりもリーズナブルで「TOYO TIRE」の「OBSERVE GIZ2」は「7800円」、「ダンロップ」の「WINTER MAXX 02」は「8100円」となっています。中にはアジアンタイヤとして知られる「クムホ」の「Winter CRAFT ice wi61」という「5500円」のタイヤもありました(※タイヤの価格は1月末時点のもの)。たまにしか雪の降らない地域で「コスパ重視」の人にはこうした選択をする人もいるはずです。もちろんそれはひとつの手段だと思います。メーカーの中には日本にテストコースを持っているアジアンタイヤのメーカーもありますし、知名度の高いメーカー品と遜色ないという評価が、ユーザーから上がっているのも事実です。
残念ながら個人的には格安のアジアンタイヤをちょい乗りでテストした程度の経験しかなく、本格的な冬期間の道をしっかりと走り込んではいません。性能について詳細なコメントはできない状況です。それでも都内で降雪があるような路面状況なら「そこそこ使えるのでは」という印象をアジアンタイヤのスタッドレスに抱いたのも事実です。本来、安全とコスパとを天秤に掛けるのは適切ではありませんが、サマータイヤで雪道を走行するような無謀だけは防げるし、悲惨な結果に結びつく危険性は大きく低減できるわけです。