投資情報会社・フィスコが2月6日~2月10日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今後の金融政策について従来のタカ派的な方針を変更しつつあるが、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行(BOE)も金融引き締めをやや緩めるとの思惑が浮上しているため、リスク回避的なドル売りがただちに強まる可能性は低いとみられる。1月31日-2月1日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げ幅を0.25ポイントにとどめた。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で年内の利下げの可能性を否定したものの、これまでの引き締めを弱める方針を示した。今後については、雇用関連統計が改善しても、賃金インフレ鈍化の傾向は鮮明であり、FRBはタカ派色を弱める見通し。特に、ターミナルレートの引き下げにより5月の会合で利上げ休止が予想される。
一方、日本銀行の金融政策について、黒田総裁をはじめ複数の当局者が異次元緩和の継続を主張している。2月中旬頃までには正副総裁の次期候補者がある程度絞り込まれる公算で、日銀新体制への移行が意識されやすい。次期総裁が2月中旬頃までに決まった場合、リスク回避的な円買いが強まり、主要通貨を押し下げる可能性があろう。ただ、ECBは今後利上げペースを緩める可能性が浮上しているほか、BOEは金融引き締めが終盤に入ったことを受け、ユーロとポンドは売りが強まりやすくドルの下げを抑制する要因になりやすい。ドル円は下値の堅さも意識され、下げづらい値動きが予想される。
【米・新規失業保険申請件数】(9日発表予定)
9日発表の米新規失業保険申請件数は年明け以降、予想よりも強い内容が続き、雇用情勢の改善を示している。有力企業のリストラに関する報道は目立つものの、申請件数の減少傾向が続けば金利安・ドル安を抑制しよう。
【米・1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(10日発表予定)
10日発表の1月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は65.0と、昨年12月の64.9から小幅上昇が予想されている。個人消費の拡大が示されれば減速懸念はさらに和らぎ、金利高・ドル高の要因となりそうだ。