「母に遺言の書き直しを強要した」というクレームも
このケースでは、長女が私的流用した事実はなかったというが、長女も預金を引き出した用途をきちんとノートに記録するといったことをしていなかったので、問題の解決までに時間がかかったのだという。
「詳細な介護ノートなどがあればすぐに解決したはずですが、それがなかったうえに、母親や長女は、次女に対して財産管理契約を結んでいることを伝えていなかったのです。それが問題をこじらせる原因となってしまいました。
母親が亡くなった後に遺言も出てきたが、次女は“昔、母に見せてもらった遺言とは違う”と言い出し、長女が母親に強要して書かせたものだと主張しました。母親が次女に対して、“遺言書を書き直した”と伝えておけばよかったし、介護を姉妹で分担してもよかった。第三者が財産管理する契約を活用する方法もあるが、家族間の意思共有も重要ということでしょう」(吉澤氏)
高齢者の財産管理の問題を巡って、家族が考えるべきことは多くあるのだ。(了)