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認知症母が隣人に贈与、孫への贈与1000万円を嫁が使い込み… 「こんなはずじゃなかった」生前贈与のトラブル

口座名義が孫の名前でも誰が管理しているか

 生前贈与でもっとも多いトラブルは「名義預金」だ。埼玉県の主婦Tさん(57才)が言う。

「父は、私に娘が生まれたときから、娘の名前の口座をつくってお金を貯めてくれていました。通帳も印鑑も私が大切に管理していて、5000万円以上あったのですが、父が亡くなったときに“相続財産扱い”になり、結局1000万円以上も相続税を取られてしまいました」

 もともとは父のお金のため、口座名義が孫の名前でも、管理しているのが本人でなければ、それは「父のお金」ということになり、相続税を課税される。

「通帳をつくったら本人に渡しておくのはもちろん、お金を振り込むたびに贈与契約書を交わしておけば、問題は生じません。また、あえて年間110万円の額を少し超えて贈与して、少額の贈与税を払っておく手もあります」(曽根さん)

 そもそも、非課税枠を超えてまで、大金を一度に慌てて贈与するべきではない。

「金額によって税率はその都度異なりますが、例えば500万円を一括で渡す場合の税率は、贈与税よりも相続税の方が安いケースもあります。急いで贈与せずに、普通に相続した方が節税になる場合も少なくありません」(木下さん)

 相続税は財産総額が3000万円+(600万円×法定相続人の数)は非課税になる。よほどの資産家でない限り、相続税はかからない家庭の方が多いのだ。

「来年、ルールが変わるからといって、相続税の試算をせずに、焦って大きな額を贈与するのは避けた方が無難でしょう。今年は“贈与した方がいいか、相続させた方がいいか”キッチリ計画を立てる一年にしてほしい」(橘さん)

 そのうえで、結婚・子育て資金の枠や110万円ずつの暦年贈与など、使えるところは抜かりなく使うのが得策だ。何事も「急いては事を仕損じる」ということなのだ。

※女性セブン2023年2月23日号

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