工場研修で“珍獣扱い”されチヤホヤ
40代男性・Bさんは、新卒で入社した化学系の中小企業で「特別扱い」に困惑した経験を明かす。創業以来、初めての「東工大・院卒」の入社だったからだ。
「就職活動が難航して、やっとのことで入社できた会社だったので、内定をもらった時はめちゃくちゃ嬉しかったです。入社式は本社ではなく地方の工場で行われたのですが、その時の新入社員紹介で『東京工業大学大学院卒業のBくん!』とアナウンスされると、謎の拍手と歓声が巻き起こって、うろたえました」(Bさん)
Bさんは「東京の大学が珍しいのかな」程度に思っていたが、工場研修では、現場の人たちから「“珍獣扱い”されていた」と苦笑する。
「工場の人たちに、『なんでうち? もったいない』とか、『うちを立て直して!』とエールを送られました」(Bさん)
工場でそんな体験をしたBさんは、「自分でも、幹部候補と期待されていることは感じていました」と言う。というのも、通常数年は工場勤務をするところ、Bさんは入社2年目で本社に転勤になったのだ。
「本社では『なんであんな新人が来てるんだ』と陰で言われているのを感じていました。高専卒の人も結構多かったのですが、『院卒だから社会性ないな、お前』とか、『研究ばっかりしてきて、使えない』と言われたこともあります。工場ではみんな優しくしてくれたし、自分は幹部候補だと思っていたのに、どうしてそんなことを言われなければならないのか、と悩みました」(Bさん)