自分の「プライドの高さ」に気づけなかった
そんなBさんは、5年目になると、地方研究機関へチームリーダーとしての異動を命じられた。そこでBさんは、うつを発症する。
「研究機関なら、自分と似たような経歴の人もたくさんいるだろうから、居心地がいいかと思いましたが、僕の言うことなんて、誰も聞いてくれない。むしろ『都落ち』扱いでした。人とうまくコミュニケーションが取れずにうつになり、一定期間休ませてもらいました。勉強ばかりしてきて、いろんな人との付き合い方が下手だった、ということは自覚しています」(Bさん)
現在、Bさんは、リーダーではなくシニアスタッフとして勤務中。「無意識でしたが、プライドの高さが出てたんでしょうね……」と振り返る。
「当時は自覚していませんでしたが、心のどこかで『俺は評価されるはずだ』とか考えていたし、周囲に対しても『なんでそんなことがわからないの?』というオーラが出ていたんだと思います……。研究機関でうまく折り合いをつけることができていれば、そのまま出世コースに乗れたと思うんですけど、それができなかったので結果的に“格下げ”になって、いまは“塩漬け”にされている感じです。うつの時は、本当に誰とも話をする気になれなかったので、今は、普通に朝起きて会社に行けるだけで十分かな、と思っています」(Bさん)
就職活動では、高学歴の人を“優遇”する「学歴フィルター」が話題になる。しかし会社に入ってみれば、高学歴の人にもさまざまな試練があり、“高学歴扱い”の呪縛に苦しめられる人もいるようだ。(了)