業界の第1位と第2位の企業を選ぶことと関連しますが、その業界で高いシェアを握っている企業も有力な投資先の候補となります。目安となるシェアは、「3割」くらいではないでしょうか。他に7割近いシェアを持つ企業があれば話は別ですが、およその目安としては、3割のシェアがあれば、十分に強みを持った企業と考えることができます。
高いシェアを誇る企業は、ウェブサイトなどで、「当社は何とかの分野で何%のシェアを占めています」と強烈にアピールしていますから、すぐにわかります。同じ業界のライバル企業のシェアを確認してみれば、その業界の勢力図が見えてくるので、これも参考にはなると思います。シェアというのは、結果的にその業界内の順位と同じになってしまうことも考えられますが、一応の目安にはなると思います。
継続的に利益を積み上げていく「ストック型ビジネス」
ここに名前を挙げた企業には、ひとつの共通点があります。「銀行・金融」、「保険」、「通信キャリア」というのは、すべて「ストック収入」の業態であるということです。「商社」の場合は特殊ですが、それ以外は、基本的には「ストック型ビジネス」であることが大きな強みになっています。
ストック型ビジネスとは、一度契約をしたら、その契約が終わるまでは継続して対価が得られるタイプのビジネスのことです。商品やサービスを提供して、一度きりの売上げや利益を上げる「フロー型ビジネス」とは異なり、先にお金が入ってきて、その後に商品やサービスを提供するため、継続的に利益を積み上げていくことが可能になるのです。
現在、世界レベルで躍進している「アマゾン」や「グーグル」、「アップル」などもストック型ビジネスに属しています。幅広い世代の支持を集めている映像・音楽配信サービスなどのサブスクリプション(定期課金)なども、ストック型ビジネスの一種です。
モノを作って売るのではなく、先にお金を集めるビジネスですから、利益率が高くなり、次のビジネスも始めやすくなります。ストック型ビジネスをしている企業を選ぶことも、配当金を積み上げていくための大事な手がかりとなります。
「商社」の場合は、必ずしも「ストック型ビジネス」のカテゴリーには入りませんが、先に商品やサービスを作らないとか、在庫を抱える必要がないという意味では、他の3業種と共通した強みを持っています。
世界各国で地下資源の「権益」を所有するなど、商社特有の「権益ビジネス」も注目ポイントです。地下資源は世界レベルで利益を生み続ける可能性がありますから、今後の成長が大いに期待できると考えています。
「保険」業界が儲かりやすいビジネスであることは、多くの人が理解していることだと思います。たくさんの人から保険料というお金を最初に集めて、保険会社がサービスを提供するのは何かが起きてからですから、その後のことです。
もしかすると、何も起こらないかもしれません。その間、保険会社は集めた資金を使って稼げばいいのですから、ビジネスとしては非常に恵まれたシステムを持っています。投資の神様と呼ばれるアメリカの投資家ウォーレン・バフェットが、保険事業を中核にしていることでも、それが秀逸なビジネスモデルであることがわかります。