1997年、「21世紀に間に合いました」と誇らしげなコピーとともに世界初の量産型ハイブリッド車としてデビューしたトヨタの「プリウス」。それから20年あまり、環境車のリーダーとして走り続けてきたが、ときにBEV(バッテリーのみで走行する電気自動車)の後塵を拝する“時代遅れ”のような扱いを受けることもある。はたしてその実情はいかなるものか。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。自動車ライターの佐藤篤司氏が新たな魅力を携えて登場した5世代目の新型をレポートする。
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昨年の1月~12月の乗用車販売台数(運輸支局に登録された時点)を見て少しばかり驚いたことがありました。プリウスの順位が20位にとどまっていたことです。モデル(4代目)の末期ということを考えれば、新車の販売台数トップ10の中に入っていないのは不思議ではないかもしれません。事実、新型コロナ禍の前年、2019年には1位だったのですが、2020年は9位、2021年は16位といった具合にフルモデルチェンジが近づくにつれて、人気車プリウスの販売台数は落ちて来ていました。単純な比較はできませんが、10年以上前の2010年、当時販売されていた3代目モデルは、全販売チャネルで扱えるようになったこともあり、31万5669台が販売されました。圧倒的な1位であり、それ以降も強さを見せていました。
そんなプリウスも今年の1月、新型の5代目モデルの販売が始まると同時にオーダーが集中し、あまりの人気ぶりからディーラー購入の場合は、納期が1年以上、中には2年以上もあるほどの状況です。そんなに売れているのか?と思い、今年1月の販売台数を見てみると3214台で、順位は19位でした。販売期間も短く、さらに登録が間に合っていないことを考えると、納得できる順位かもしれません。
今回の5代目プリウス、これほどまでの人気の秘密は、どこにあるのでしょうか? ようやく我々にも一般道で試乗できる車両が準備されたので、早速チェックしてみました。