快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「2年以上待ち」も… 人気が集中するトヨタ「新型プリウス」が環境性能のほかに求めた“新しい魅力”

Uグレードは1.5ヶ月で購入可能

 さてドライビングの準備ができたところで走り出してみました。スルスルッとしとやかにモーターだけで加速していきます。時折、エンジンが登場する感覚はありますが、モーターとエンジンとのバランスがよく、実にスムーズな加速感、レスポンスの良さ、自然な減速感など、かなり熟成されていることを感じます。

 さらに低くなだらかなボンネットフードは軽快な走りを楽しむための前方視界確保には有効です。クーペのようなデザインだから車内からの後方視界はどうだろうか?と思っていましたが、こちらもCCDカメラの助けなども借りながら、十分に確保されています。

トヨタのBEV、bZ4Xに共通する新しいデザインのメーターモニター周辺。視認性も悪くない

トヨタのBEV、bZ4Xに共通する新しいデザインのメーターモニター周辺。視認性も悪くない

 全体とすればホットハッチのような軽快さのある走りには満足でしたが、ひとつ2.0Lエンジンを搭載しているモデルに与えられている19インチ、扁平率50という、まるでスポーツカーのようなタイヤ(トレッドの幅は195と大人しいのですが……)は、少々やり過ぎの感があります。高速道路やワインディングでの走りの安定感はレベルが高く、レスポンスも良くてスポーティ。実はハイペースで走っているときにはあまり気にならないゴツゴツとした路面からの衝撃は、ゆったりと燃費走行をしているときなどでは、プリウスにはそぐわないのでは、と思えるような振動を伝えてくるのです。

 この点においては「U」というグレードに与えられていた「195/60R17タイヤ&17×6.5Jアルミホイール」という仕様がとても好印象。さらに搭載されているエンジンは1.8Lで、価格も299万 円で300万円切りを実現しています。さらにWLTCモードのカタログ燃費も2.0Lが28.6km/Lに対し、1.8LのUは32.6km/Lです。

 どちらの数値も立派ですが、やはりプリウスとして選ぶなら、このUグレードがいい、となったのですが、ひとつだけ問題が。実はこのUグレードはトヨタの「KINTO」というサブスクでのみ購入できるモデルです。それもウエイティングが1.5ヶ月というのですから、何とも魅力的。個人的にはKINTOでUを購入でする決断をすると思いますが、より走りや装備の質感が高い2.0Lモデルを手にするために1年ほど待つか……。実に悩ましいところでもあります。

 さらに少し遅れてプラグインハイブリッド(PHEV)のプリウスも登場します。サーキットでこちらにも乗りましたが、さらに魅力的な内容になっていました。なによりプラグインモデルで感心したのは、急速充電のソケットをなくしたことです。そこには「ハイブリッド車はエンジンだけでも走れますから、急速充電施設はBEVのために使ってください」と言う判断からなのです。

 実はBEVの充電インフラでひとつの問題となっているのは、PHEVが、BEVの生命線でもある急速充電器を使っていることなのです。BEVのユーザー達は「エンジンでも走れるんだから、勘弁してくれよ」となる気持ちも、よく理解できます。それを考えるとPHEVプリウスが急速充電のソケットをなくした判断は正解だと思います。

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