化粧品市場が落ち込むなか、男性化粧品市場が活発化している。調査会社インテージによると、2021年の化粧品市場規模は2020年(9315億円)から2%増の9466億円と、ほぼ横ばいだが、その中で、2021年の男性向け化粧品市場は、前年比で9%増加の406億円と4年連続の伸長で、過去最高だった。
“化粧は女性がするもの”という価値観が変わりつつあるのかもしれない。これまで、なんとなく“抵抗感”があったものの、最近コスメデビューできたという40代の男性、言わば“コスメおじさん”たちに、その思いを聞いた。
後輩男性が化粧水をつけていることを知った
「コスメは女性のもの、という刷り込みがありました。男性がやるとしても、芸能人がするもの、といった印象でした。でもいまは、男性も身だしなみを整えるためには必要なアイテムなのかもと思うようになりました」
メーカーに勤務する40代男性・Aさんは、コスメに対し、率直なイメージをこう明かす。Aさんのコスメデビューは基礎化粧品。きっかけは20代の後輩男性だった。
「僕は高校時代にニキビに悩まされた結果、今、顔の肌はボロボロで、それがとにかくコンプレックスです。肌が汚いのがイヤだという話をしていたら、ある時、会社の後輩が、洗顔後には化粧水をつけるという話をしていたのです」(Aさん)
身近なところで、メンズコスメを使用している男性の存在を知ったAさんは、興味津々になった。
「その後輩にいきなり話しかけるのは躊躇したので、同僚の女性に、化粧水について聞いてみました。すると、化粧水の後には必ず乳液をつけることなど、詳しく教えてくれたんです。それまで、男がそんなことを聞くのは、おかしいみたいな思い込みがありました。その女性からは、『男性は毎日ひげを剃るんだから、女性以上にケアに力を入れたほうがいいんじゃない?』と言われ、目からウロコでした」(Aさん)