小出しに維持修繕するのが望ましい
加えて、相続目的のリフォームで確認しておきたいのが「子供の意思」だ。
「大金をかけてリフォームしても、駅から遠く利便性の悪い家は売却も難しく、いくら改修で綺麗になっても子供世代が住むメリットが少ない。そのうえ、増加した固定資産税や相続税が重くのしかかる可能性もあるとなれば、子供としてはたまらない。子供の意向をきちんと聞かずに踏み切ったリフォームの失敗例は多いです」
一方、小規模なリフォームや修繕の場合は家の資産価値に影響しない可能性が高い。
「経年劣化した箇所や壊れた箇所を原状回復する工事は、課税評価額に加算する必要はありません。雨漏りの修繕、外壁の補修、壁紙の張り替えなど現状維持のための修繕が該当します」
目安は1回で20万円くらい、3年に1度くらいまでとされる。相続税評価に影響しないリフォームなら、より大きな相続税の節税効果が期待できる。
つまり、失敗を避けるには、「小出しに維持修繕するのが望ましい」(植崎氏)わけだ。
「とりあえず自分が住むための維持修繕や小さなリフォームを小出しにしていくと、自宅の快適性を維持できて節税効果も期待できます。ただし、1度に100万円を超える場合、税務調査で説明を求められる可能性があります」
まずは自分たちが快適に暮らすことを優先にするということだ。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号