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熟年離婚を検討する専業主婦、夫が将来もらう「退職金」は財産分与の対象になるのか? 弁護士が解説

財産分与の範囲はどこまで?(イラスト/大野文彰)

財産分与の範囲はどこまで?(イラスト/大野文彰)

 子供が独立するのを待って離婚を決断する夫婦は少なくない。熟年離婚では、夫婦で築いた財産や夫の退職金は分与が焦点になるが、どのような基準があるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が、実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 子供たちが独立したので近い将来に熟年離婚を考えていますが、財産分与のことで相談です。これまでは時々パートをしながら、子育てと家事が中心の生活でした。生活費の大半は夫が出していたので感謝していますが、いまでは家庭内別居状態。このまま一緒にいても意味がないので、老後は自由に暮らしたいと思っています。離婚する場合、これまで築いた財産や夫が将来もらう退職金を分与してもらえるのでしょうか。教えてください。(60才女性・主婦)

【回答】
 結婚して2人で築いた財産は夫婦の共有財産であり、その名義がどちらか一方であっても、夫婦の実質的な共有と考えられて分与の対象になります。通常、夫婦の共有財産は、一方が特別な高額所得者でない限り、2分の1ずつの割合で分けられます。分けることができない財産は、換価してお金で分けるか、一方が取得して、相手方に半分を金銭補償するなどされます。

 ご質問の退職金ですが、ご主人の勤め先の就業規則で支給されることになっていれば財産分与の対象になります。退職金は実際に退職して手に入れるものなので、多くの場合、定年を待って実現します。

 退職金は就労期間の長さによって変わるので、離婚の時点では定年はまだ先という場合には、退職金の額は実際の退職まで確定しません。だからと言って離婚時に退職させることもできません。そこで、その計算方法にはいくつか考え方があります。

 1つは、離婚時点で自己都合退職をしたと仮定した支給額を基準にします。ご主人がその勤め先に結婚前から勤めていた場合には、結婚前の期間に対応する部分は共有財産ではありません。ですから離婚時の仮定退職金を就職時から離婚時までの全期間で割って、同居期間を掛ける方法で算出した額を財産分与の対象となる退職金と考えることができます。よって、その半分が分与される額になります。もっとも、支払いは退職時に退職金を受け取ることが条件になります。

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