どんな投資でもリスクはともなうもの。専門的な知識が不可欠な商品も少なくない。手堅い資産形成の手段として注目されるETF(上場投資信託)だが、より大きなリターンが見込めるレバレッジ型ETFへの投資には要注意だ。
この商品は、通常のETFと同様に日経平均株価やTOPIXなど特定の指数などに連動するが、証拠金の数倍の取引が可能な「レバレッジ」の仕組みを利用し、実際の値動きの2倍、3倍の収益を目指し運用される。FPで消費生活アドバイザーの丸山晴美氏はこう指摘する。
「初心者が手を出してしまうケースが見られますが、通常のETFより大きな利益が狙える反面、リスクも大きい。たとえば、購入した100万円分のETFが10%値下がりした場合、通常のETFなら(手数料などを考慮せず)元本は90万円になります。ところが、レバレッジ2倍型だと80万円まで目減りする。そこからさらに10%値下がりすれば元本は64万円となり、どんどんマイナスが大きくなるリスクがあるのです」
2019年から2020年1月にかけての日経平均株価大幅上昇を好機と捉えた50代男性は、その後も株の上昇が続くと踏み、日経平均株価に2倍の値動きで連動するレバレッジ型ETFを200万円分購入した。男性が語る。
「目論見は大きく外れました。新型コロナ禍で2020年3月後半には日経平均が1万7000円を割った。レバレッジがかかっていたため、わずか2か月余りでETFは半値まで下落。100万円が消えてしまいました」
半日で11万円溶けた
2022年の急激な円安、政府の為替介入による円高反転など、ドル円相場の値動きに注目が集まる昨今。この機に「FX(外国為替証拠金取引)で一儲けしよう」と考える人もいるかもしれない。
そもそもFXとはどんな金融商品なのか。経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。
「ドルと円など、2つの国の通貨を『ペア』として売買する取引で利益を狙う商品です。レバレッジをかけることで少ない元手でも大きな金額の取引が可能です」
FXのレバレッジは最大25倍。仮に4万円の資金(証拠金)があれば100万円分の外貨取引が可能になる。だが、その分リスクも大きい。