投資はつねに損をするリスクと隣り合わせ。投資するにあたって、専門的な知識が不可欠な商品も少なくない。マネーの専門家が口を揃えて「素人が手を出すべきではない」とするのが先物取引だ。
先物市場では原油や穀物といった現物以外にも、債券や個別株などの金融商品を対象とした取引が行なわれる。価格が日々変動するそれらの売買価格や数量を前もって約束し、後日、売却・買い戻した際の差額で損益が決まるため、値動き次第では大儲けも大損も十分に起こり得る。ファイナンシャルプランナー(FP)・深野康彦氏が言う。
「原油などの商品先物は景気や政情などの影響を敏感に受けます。穀物などの価格は、地球規模で変動する天候に大きく左右される。先物取引は価格の変動要因があまりにも多く、個人投資家が投資して儲けることは非常に難しい」
経済アナリストの森永卓郎氏も同様に、「素人は絶対と言っていいほど、先物取引で勝つことはできない」と断言する。
「FXと同様、レバレッジをかけることで証拠金の10~20倍の大きな取引も可能ですが、株式取引などと異なり、元本を超える大きな損失が発生することも考えられます。専門知識のない素人が将来の相場の値動きを予想するのは不可能に近いので、手を出すべきではないでしょう」(森永氏)
「美術商の鑑定で偽物と発覚…」
富裕層を中心に根強い人気の美術・骨董品への投資も、素人が気軽に手を出すにはやはりハードルが高い。FPで消費生活アドバイザーの丸山晴美氏はこう指摘する。
「テレビの鑑定番組の影響もあり興味を持つ人は多い。原則100万円以下の美術品投資であれば減価償却による節税効果もあります。しかし、素人が美術品や骨董品の真贋や良否を見極めることは非常に困難。保存状態が価値に影響することもあり、保管にも費用がかかります。流動性も低く、売りたい時に思うような値段で売れないことも多い」