世界的に金利上昇局面となっており、債券投資への注目度が高まっている。債券投資に挑戦するには、どのような方法があるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第37回は、「債券投資の始め方」について。
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前回は債券投資の基本について解説しました。わたしたち個人投資家が、債券投資をしようと思うと、直接、個別の債券を買う方法と、投資信託やETFなど債券ファンドを買う方法があります。どちらのほうがよいでしょう?
個別債券と債券ファンドのちがい
【リスク分散】
債券ファンドは、国内債券、先進国債券、新興国債券など、ざっくりとした投資対象が決められており、それらに対して運用のプロが配分を決め投資をします。個別の債券では、発行体の企業が倒産してしまうと、利息どころか元本もかえってこない恐れがありますが、複数の債券を組み入れている債券ファンドでは、そうした個別企業のリスクを分散投資によって低減することが可能です。
【売買タイミング】
個別債券は、新規で発行される新発債の場合は募集期間が決まっており、そのタイミングで買って償還期間満期まで持っておくのが一般的です。すでに流通されている既発債の購入は、流動性が低いためあまり一般的ではありません。また個別債券の途中売却は、流動性が低いため利息よりも高い手数料がかかるなどハードルが高くなります。
一方の債券ファンドでは、償還金を別の債券に再投資するため、償還期間が決まっていないものが多く、長期で運用することができます。売却タイミングも自由です。
【手数料】
個別債券の購入手数料は新発債の場合は無料です。既発債の場合は、証券会社の店頭で行う店頭取引の場合は、取引価格に含まれているので手数料はかかりませんが、証券会社を通じて注文を出す取引所内取引では、手数料がかかります。既発債の場合は流動性が低いため、わりと高めになることが多いようです。
債券ファンドは、ネット証券などでは売買手数料は無料の場合がほとんどですが、信託報酬がかかります。