米国が実施しようとしている保護主義的な諸政策は、むしろ米国経済にとって逆効果になりかねない──。バイデン政権は昨年8月、米国内での半導体関連産業の投資拡大、生産の国内回帰を促すことなどを目的とした「CHIPSプラス法」を成立させた。中国との競争に備え、企業に対して補助金、税額控除を与えるといった内容がその中核にある。
また、米国商務省産業安全保障局は昨年10月、中国を念頭に半導体関連製品の輸出管理規則強化案(最終暫定規則)を公表した。スーパーコンピューターやAIに使用される最先端半導体やその製造装置の輸出を禁止することなどがその主な内容となっている。
こうした米国内の政策に同調すべく、半導体製造装置大手メーカーを有するオランダは3月8日、最先端半導体技術に関する新たな輸出規制を計画していると発表。日本は3月31日、最先端半導体製造装置など23品目について輸出管理規制の対象に加えると発表した。これについて意見公募が既に開始されており、順調に進めば5月に省令改正が交付され、7月から実施されることになりそうだ。
今後、先進国からの厳しい制裁が加えられようとしている中国半導体産業だが、3月に入り半導体関連銘柄の株価が軒並み急騰している。
たとえば、半導体ウエハー、チップを製造する杭州立昂微電子(605358)の株価(終値ベース)は4月17日現在、2月末と比べて33%上昇している。また、拡散、エッチング、スパッタリング、洗浄、検査など、多品種の半導体製造装置を製造する北方華創科技集団(002371)の株価は同じ期間に41%上昇している。
グローバル半導体市場については、2022年の年初あたりまでは好調を維持したが、その後、在宅需要の一巡、インフレの進行、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などから需要が減速、2023年も厳しい状況が続くといった見通しをする市場関係者が多い。
半導体製造装置の投資に関する予測については、SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が3月21日に発表したものが新しいが、それによれば、前工程製造装置の投資額は2022年に過去最高を記録した後、2023年は22%減に縮小するとしている。