バイデン大統領が「米国第一主義」に転向したことで、アジアの、特に韓国の自動車メーカーが窮地に陥ろうとしている──。米国政府は昨年8月、インフレ抑制法案を成立させた。インフレ抑制と名付けられているが、エネルギーの安全保障や気候変動対策を促進することも目的とされており、クリーンエネルギー導入促進のための具体策として、新エネルギー自動車購入者に対する税控除が実施されることになった。
米国政府は4月17日、この法案の細則を発表した。それによれば、米国消費者は電気自動車(EV)の購入にあたり、最大で7500ドルに達する(税控除による)実質的な補助金が支給されることになり、適応される条件の詳細とともに、支給対象となる企業、車種が明らかになった。問題はその対象企業、車種に大きな偏りがあることだ。
テスラ、シボレー、フォード、キャデラックなど、米国企業の車種だけが対象となり、日本、ドイツ、韓国企業は一車種も対象とならなかった。輸入車に対して不平等な扱いをしている点で既に保護主義と言えるが、米国内に投資し従業員を雇い入れ、納税義務も果たす海外企業に対してさえ不公平な扱いをしている。これは典型的な保護主義政策と言えるだろう。
この点について、韓国マスコミは強く米国政府を批判している。
中国青年網が19日、「朝鮮日報」による報道内容として伝えているところによると、昨年8月に法案が発表された段階ではアラバマ州の工場で生産される現代自動車の「GV70」は対象候補に挙げられていたが、今回の最終名簿からは外されている。使用する電池が中国製であることが選に漏れた理由で、同じ理由でテネシー州で生産される日産「リーフ」も最終名簿に残らなかったようだ。
また、起亜集団(現代自動車の子会社)は北米EV市場で現在、第2位の市場シェアを勝ち取っているが、今回の決定によって大きなダメージを受けるだろうとしている。