スバルブランドの普通車でもっともコンパクトなモデルとして人気だった「XV」。フルモデルチェンジとともに、グローバル名称である「クロストレック」を採用してデビュー。内外のデザインや走りの機能を徹底的に磨き上げたうえで、スバルが世界に誇る安心安全を武器にしたコンパクトなクロスオーバーSUVとして、注目が集まっている。自動車ライター・佐藤篤司氏の連載「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、スバルのニューモデルを試乗レポートする。
肩肘張らずに行動範囲が広げられる
新たな車名「クロストレック」とは「クロスオーバーSUV」と「トレッキング」を合わせて創り出された車名です。その由来からも分かるように、アクティブなアウトドアライフを快適にこなすために最高のパートナーになる、といった思いが込められています。事実、コンパクトで扱いやすく、思い立ったらお気に入りのギアを積み込んでレスポンス良く、スポーツやキャンプなどを楽しむフィールドへ飛び出していくというライフスタイルには、ぴったりだと思います。その意味からするとクルマの個性を端的に表現しているわけで、旧名のXVよりも伝わりやすいネーミングだと思います。
実はクロストレック、デザイナーや開発エンジニアの人たちに、トレッキングやキャンプなどアウトドアの愛好家が結構いるのです。そうした人たちが「実際のフィールドでどんなクルマが使いやすいか」をつねに考えながらアイデアを出し、それをできる限り商品、つまりクロストレックに盛り込んでいます。こうした思い入れが実際のユーザーに響くポイントとなって、支持率も高くなっています。
さらにいまはキャンプを始めとしたアウトドアのブームになっていますが、一方で最初から何もかもを本格的に揃えて、というところまでいかない潜在的ビギナー需要もかなり多く、そうした人たちにとってクロストレックは「ちょうどいいポジション」の1台です。日常では、使いやすいサイズのコンパクトハッチとして活躍し、いざデイキャンプ(日帰り)や1泊2日のカップルキャンプといった要望には完璧に応えてくれる、非常にフィット感とレスポンスに優れた存在なのです。
外観をよく見ると、所々にワイルドな使い方にも対応できそうなデザインがあり、個性的なスタイルになっています。たとえばリアバンパーをちょっぴりワイルドなゴツゴツデザインにしたり、ハードな印象のプロテクター類でフェンダーアーチ部分やフロントマスクを取り囲んだり、かなり目立ち度の高い仕上がりになっています。おまけにそうしたボディ下部に張り巡らされたパーツ類は決してアクセントのための飾りだけのものではなく、実際のアウトドアフィールドでボディをガードする実用性を持っていて、狭い山道での安心にも繋がります。