アプリで出会う今どきの婚活の難しさ（イメージマート）
「男性側が奢るべき」「フェアな割り勘が当たり前」──男女の交際でデート費用をどう負担するかは議論になることが多い。情報サイト「マッチングアプリ大学」が20〜40代の独身男女227人にデート時の飲食代の支払いについてアンケートした結果、「初デートでは男性に多く支払ってほしい」と回答した女性が約6割に達した（2022年2月公表）。そのうち約半数の28.6％が「全額奢ってほしい」と答えている。一方、「全額奢りたい」とする男性は約5割、「多めに出したい」と回答した男性は33.7％だった。ちなみに、「割り勘にしたい」女性が約4割いた一方、男性の割り勘は16.8％にとどまった。以上の結果だけでも、デート時の費用負担は個人によって様々な考え方があり得ることがうかがえる。
最近では結婚を意識する男女が出会う場としてマッチングアプリ（婚活アプリ）も活用されており、オンライン上の紹介文やメッセージのやり取りを通してしか知らない相手と、初対面で食事をする機会もあるようだ。そうしたケースでは、会って初めて、相手の金銭感覚やデート代の支払いについての考え方を知ることになる。食事などが終わりいざ支払いとなった時、そこではどんなやり取りが交わされるのか。フリーライターの吉田みく氏が30代男性の体験をもとに、今どきの婚活における金銭感覚のすり合わせの難しさを考察する。
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男女の出会いは、学校や職場などが主流だった時代から、最近ではネットでの出会いが当たり前になってきている。
理想の結婚相手と出会えることを期待してマッチングアプリを利用している都内在住の会社員・リキヤさん（仮名、38歳）。アプリで知り合った20代後半の女性と初デートにこぎ着けたが、レストランの会計時に意見の食い違いが生じたという。
「1人1万円のイタリアンで食事をしました。追加でお酒やアラカルトも注文したので、合計で3万円弱になったんです。本当は割り勘にしたかったのですが、彼女の収入はあまり高くないと事前に知っていたので、コース料金の1万円だけでいいよと言ったら、『え、全部支払ってくれるかと思っていました』と言い出したんです」（リキヤさん、以下同）
共通の趣味である旅行や食事の話で盛り上がっていただけに、金銭的な価値観の相違が表面化したことはとてもショックだったそうだ。中堅企業で働き、収入も貯金もそこそこあるリキヤさんとしては全額支払うことは十分できるが、「どうしても、女性側に少しでも支払ってほしかった」と話す。
「もしお付き合いして将来は結婚となった時……、高いレストランで奢られても平気な顔でいられるような女性では嫌なんです。僕もお金がないわけではないのですが、人生の大切なことなのできちんと見定めたい気持ちがありました」
