かつてバブル期にブイブイ言わせていた男性たちも、今ではそれなりの年齢に。リタイアしてお金に余裕があるのか、暇にあかせて毎日のように喫茶店に足を運んで、女性カフェ店員と会話するのが楽しみ、という人もいるようだ。ただ、本人たちは楽しくコミュニケーションを取っているつもりでも、女性店員からすれば、モラハラやセクハラを連発する“イタおじ(イタいおじさんの意味)”と映ることもあるようだ。
現役女性カフェ店員が、迷惑な“イタおじ”の実態を明かしてくれた。
職業人としてのプライドを傷つけられた言葉
都内のコーヒー店で働くサオリさん(30代・仮名)は、有名店で修行した経験がある女性バリスタだ。彼女が勤務する喫茶店は、ブレンド一杯が1000円~という、価格帯も高めに設定されている店舗で、客層もお財布に余裕がある中高年男性が大半を占めるという。そうしたなか、彼女目当てでカウンター席に陣取るイタおじたちの“うざ絡み”に頭を悩ませているという。
「毎日お店に来てくださることは嬉しいのですが、カウンター席に陣取って、私がコーヒーを淹れているあいだ、常に話しかけてくる固定客の方がいるんです。60~70代の5人くらいがレギュラーメンバー。お互い見ず知らずのメンバーのはずですが、『あのいつものおじさん、今日くるの?』『あいつこの間、ずっと自慢話ばっかだったよな』などと悪口を言ったり、牽制し合っていて、苦笑してしまいますね。
私のことを『サオリちゃん』と呼んで、『今度、銀座でうまいものを食わせてあげる。そんな高いお店で食べた経験はないだろう?』と言われて、名刺を渡されたこともあります。60代の男性はいつも閉店まで座っていて、『実家はどこなの、送ってあげるよ?』『両親はどんな仕事してるの? 親の学歴は? 僕は慶應の出身なんだ』などと、ひたすら捲し立てるんです。先日は、私が髪の毛をショートに切ったところ、『女は30代までは女でいなくちゃ。その髪じゃ男より短いじゃないか~、色気を大事にな!』などと言われたり……」(サオリさん)
こうした絡みだけでも不適切と言わざるを得ないが、職業人としてのプライドを傷つけられたことが、何よりも悔しかったという。サオリさんは続ける。
「基本的には笑顔で乗り切るのですが、とにかく不愉快だったのは、『どうせ女子にはコーヒーの味の違いなんてわかってないんだろう? どれどれ、今日のサオリちゃんは上手にコーヒーを淹れられたかな?(笑)』と言われたこと。私はプライドを持ってバリスタの仕事をしているので、本当に悲しい気持ちになりました。喫茶店をキャバクラかなにかと勘違いしているのではないか、と思うのです」(同前)