もし自分の子供が大金を稼げるようになったら、親はそれを頼っても良いものか──皮算用といえばそれまでだが、考えさせられる事例がある。
報道によると、大谷翔平がまだ日本でプレーしていた頃、大谷は両親に実家の建て替えを提案したが、「ちゃんと貯めておきなさい」とたしなめられたという。さらに昨年、大谷家がリフォームを行った際も両親は息子の援助を固辞。母親の加代子さんはパートを続けるなど、経済的に息子に依存する様子はない。
一方、将棋界で前人未到の八冠を達成した藤井聡太も、大谷と状況は似ている。藤井八冠は現在も実家暮らしをしているが、父親は会社勤務を継続。藤井八冠の今年度の収入は3億円近くに達する見込みだが、過去のインタビューでは「普段、買い物をほとんどしない」「自販機で飲み物を買った時にぜいたくしちゃったなと思う」と財布の紐は固く、家族の方も藤井の収入を当てにする様子は見られない。
はたしてこれらは特殊な事例なのか否か。稼げるようになった子供たちと、その親たちの意見を聞いてみた。
子供が医者になり「あんたにはお金がかかった」
都内でクリニックの経営をするAさん(40代/男性)は、「今は親の面倒を見ています」と語る。
「ウチは幼少期に両親が離婚。女手一つで育てられたので、将来、母親の面倒を見るのを目標としてやってきました。母は私が働き始めると当たり前のように仕事を辞めてしまい、『あんたにはとにかくお金がかかったから』と悠々自適(笑)。たしかに私大医学部の学費は高かったので、母親の生活の面倒を見ることに異論はありません」