米国の利上げの終了が見通される中で、円安ドル高の傾向は大きく変化していない。円安トレンドが変わらない要因は何か。また、物価上昇の一因ともなっている円安を是正するにはどのような対策が必要なのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、円安の原因を分析しながら、中長期的に円安是正につながる政策について考察し、そこから導き出される注目セクターについて解説する。
円安ドル高と支持率低下が止まらない
米国の利上げ終了観測後も円安ドル高が止まらない。10月19日深夜のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の「追加の利上げなどは今後の経済指標を見極めて慎重に判断していく」との発言以降、利上げ終了観測が漂い、株式相場が上を向いて動き出してきた。
米金利はゆっくりと下がり始め、高金利であることが重しになり押さえつけられていた半導体セクターの株価は大きく切り返していっている。しかし為替は1ドル=150円を挟んだ値で推移しており、日本では「円安による物価高」が取りざたされている。それに伴い、岸田内閣支持率は21%(毎日新聞11月19日付け)と落ち込み、発足以来最低を記録、5か月連続で30%割れという状況だ。
10月31日、参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏は「物価高は円安が原因であり、金利差が原因、円安阻止すべきだ!」と岸田首相を糾弾し、金融緩和のきっかけとなったアベノミクスの批判を行った。これは暗に、「金融緩和を終了し、利上げすることで円安を終えることができる」といった、かつて民主党政権が行った政策にのっとった意見だと考えられる。しかし緩和終了、かつ利上げ、という政策で円安是正が実現するかは定かではない。