中国北方の若者の間で今、「軍服コート」が流行している。今風にアレンジしたヘビーデューティーなアーミーコートなどではない。軍部兵士が実際に着るグリーンの綿入り87式軍服コート、あるいは古くから民間向けに大量生産されているほぼ同質のコートで、1980年代、90年代には広く普及していた伝統的なコートでもある。
中国のネット情報によれば、瀋陽農業大学のある大学生が11月10日、この軍服コートを着て教室に入る動画をアップしたが、それがバズったことで、その後同じような動画が河北省、遼寧省、山東省などのIPアドレスを持つ若者たちによって、多数公開されている。
軍服コートが若者、特に2000年代(2000~2009年)に生まれた若者に支持される理由について、ネット上ではユーザー目線からいろいろな分析が寄せられているが、最大公約数的な理由として挙がっているのは、何といっても軍服コートは安くて実用的だという点だ。
たとえば、中国で人気のブランドであるTHE NORTH FACEの男性用ダウンジャケットは安いものでも2000元(4万1000円、1元=20.5円で計算)程度はする。保温性の高いロングダウンジャケットであれば安くても4000元(8万2000円)程度の資金が必要だ。また、国内最大のダウンジャケットブランドである波司登(Bosideng)を見ても、コア商品の価格帯は1000~3000元(2万500~6万1500円)であり、ハイクラスとなると3000元(6万1500円)以上する。
一方、軍服コートであれば高くても150元(3075円)程度、田舎の衣料品店モールなどで探せば100元(2050円)以内で買うことができるはずだ。
もっとも、ダウンジャケットが高いからといって、必ずしも1000元(2万500円)の支出ができないほど、金銭的に苦しい学生ばかりというわけではないようだ。多くの学生が「ダウンジャケットが買えないわけではない。コストパフォーマンスを考えれば軍服コートでかまわない」などと書き込んでいる。