藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

投資家にとってはラッキー? 今後も増加が見込まれる「TOB」、保有株がその対象になった場合の“3つの選択肢”

東証の方針もあって今後もTOBの増加が見込まれる(写真:イメージマート)

東証の方針もあって今後もTOBの増加が見込まれる(写真:イメージマート)

 親子上場の解消を目的としたTOB(株式公開買付け)が急増している。TOBとはそもそもどういうことか。また、TOBされる銘柄を持っている場合、どのように対応すればよいか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第73回は、「急増するTOB」について。

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 最近、TOBのニュースを頻繁に目にします。TOBは、株式投資家にとって、非常に重要なイベントです。いったいTOBとはなんなのか? 保有株がTOBされた場合の対応策について解説します。

 TOBとは、M&A(合併・買収)の手法の一つで、企業の経営権などを取得するために、買付価格、期間、買付予定株数などを公表し、不特定多数の株主から、取引所外でそれらの株式を買い付けることをいいます。また、TOBと混同しやすい用語でMBOがあります。MBOとは、その企業の経営陣が既存株主から株式を買い取り、経営権を取得することです。 

 どちらも既存の株主から、株式を買い取る行為ですが、大きな違いは株式を買い付ける主体です。TOBは、企業の経営権取得を目的とする外部の第三者が株式の買い付けを行いますが、MBOは、自社の経営陣が買付を行います。TOBは経営陣の交代が起こり、上場廃止する場合と上場維持の場合がありますが、MBOは上場廃止することがほとんどです。

TOBが増加している理由

 ここ最近増えているのは、親子上場している企業の親会社が子会社をTOBするケースです。もともと親子上場に対しては、少数株主の利益を毀損しかねないという批判の声がありました。親会社が子会社に不利益になるような経営を進めても、子会社の少数株主がその決定を覆すのは難しいからです。株主還元の動きが強まりつつある今、逆の行為となる株主の利益の毀損には厳しくなっています。そこで親子上場解消のためのTOBが増えているのです。また、先日、「東京証券取引所による、親子上場の意義の開示を要請する方針」が報道されるなど、今後ますますTOBが増えると考えられます。

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