情報の入手や発信に便利なインターネットやSNSだが、その利点があだになることもある。そのひとつが、一度ネット上にあげられた画像や動画などが、「デジタルタトゥー」として半永久的に残ってしまうことだ。例えば自分のSNSで公開していた写真があるとして、それを非公開にすべく削除したりアカウントを閉じたりしても、誰かがスクリーンショットをとっていたら“完全消去”は難しい。
そんなデジタルタトゥー問題に悩まされている人たちは少なくない。どんなデジタルタトゥーなのか、なぜ自分にとって問題になるのか。その理由を聞いてみた。
自分の情報を出すことに躊躇がなかった…
都内の私立大学に通う女子学生のAさんは、SNSの投稿や相手に提供した写真が出回らないかと心配なのだという。
「自分が悪いのですが、ちょっと可愛いと言われて調子に乗り、ミスコンのようなものに応募するなど、そもそもネット上に自分の情報を出すことに躊躇がなかったんです。なんなら喜んでいたぐらい。しかもマッチングアプリやSNS経由で会った人と、しょっちゅう一緒に写真を撮っていました。なかには大学が特定できるものがばっちり写っているものもあります。
でも一度、私の顔写真が、夜の仕事系のSNSで勝手に使われていたようで、『これってAちゃん?』と友人から連絡が入り、自分の知らないところで写真が独り歩きする恐怖を覚えました」
Aさんの最大の不安は、ずばり「就職活動や社会人になってから影響するのではないか」という点だ。
「明らかにアウトなことはしていないのですが、SNSでは日本の社会に文句を言っていたり、写真も正直、品がいいとは言えないものもたくさん投稿していて……。就職活動前にSNSアカウントは消すつもりですが、変なところから私に関するタレコミが入ったら嫌だなというか……。だって、最近は何年も前の動画や画像が平気で出回るのも珍しくないので。SNS上は自分をさらけ出せる場所と思っていましたが、黒歴史になるものはよくないです」(Aさん)