「家計調査」が始まって約80年。収入額や貯蓄額などあらゆるデータが丸わかりの大規模調査だが、近年特に注目されているのは消費支出額ランキングである。町おこしに利用されるなど、その結果に日本中が一喜一憂している。さて、今年の結果はいかに──地元を愛する人たちの「自慢」を聞いた。【全3回の第1回】
ラーメン「日本一」を巡って火花を散らす山形市と新潟市
しょうがの効いた「長岡しょうゆラーメン」から変わり種の「三条カレーラーメン」まで幅広いフレーバーを網羅する新潟か、はたまたシンプルなのに味わい深く「冷やしラーメン」で夏も楽しめる山形か。総務省が2月に発表した「家計調査」(前年の2人以上の1世帯当たりの「消費支出額」)によって、外食時のラーメンへの支出額全国1位を誇る「日本一のラーメン都市」が決定した。
同調査は毎年行われており、2013年から2020年までは8年連続で山形県山形市が外食時のラーメンへの支出額1位を維持していたが、2021年に新潟県新潟市に首位を奪われた。それからというもの、両市はライバル関係となり火花を散らし、山形市が2022年に1位を奪還。今回も支出額1万7593円を叩き出し、2位の新潟市に2000円以上の差をつけ見事「2連覇」を達成した。
なぜ、山形市民はそんなにラーメンが好きなのか──週に2回はラーメンを食べるという山形市役所の担当者に話を聞いた。
「もともと山形には、お客さまが来ると出前を取る文化があります。出前といえば中華よりもそば屋を連想する人も多いと思いますが、山形ではそば屋でもラーメンを出すのがオーソドックス。
私も子供の頃は、親戚が来るとラーメンを食べられると思っていましたね。普段の日でも、ちょっとした集まりでも、あらゆるタイミングでラーメンを食べる習慣がしみついているのです」