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資産150億円・片山晃氏が考える個人投資家の“勝ち筋” 「数字の分析よりもその先のストーリーを読むことに投資の付加価値を見出す」

AIで決算分析がおこなわれる時代に、個人投資家はどのように投資に臨んでいくべきか(写真:イメージマート)

AIで決算分析がおこなわれる時代に、個人投資家はどのように投資に臨んでいくべきか(写真:イメージマート)

 2005年に株式投資を始め、現在は150億円もの資産を築いている個人投資家の片山晃氏。機関投資家にはない、個人投資家の強みや戦略について、どう考えているか。小松原周氏との共著『改訂版 勝つ投資 負けない投資』も話題の片山氏が、個人投資家にとって必要な想像力について解説する。

事実を知ることによって想像力は養われる

 2005年の冬に、あのBNFさんを一躍有名人にしたジェイコム事件が起きました。みずほ証券が1株66万円で売る注文を誤って、1円で66万株と入力してしまった日本一有名な誤発注事件です。

 その時、僕はリアルタイムでその様子を目撃していました。ところが、ただの1株も注文を出すことができませんでした。「誤発注」という概念そのものが僕の頭になかったため、今起きていることが何で、それがどんな機会をもたらすのかについて想像力を働かせる材料を持たなかったのです。

 しかし、その前年に電通で起きていた大規模な誤発注事件を知っている投資家にとって、ジェイコムに出た発行済株式数を上回る異常な売りは空前絶後の儲けのチャンスに映ったでしょう。次の瞬間には、誤って売ってしまった株を買い戻すための膨大な買いが来ることを過去の経験から知っていたからです。

 東日本大震災の直後には、備蓄用の食品や災害グッズが売れに売れたといいます。また、地震保険やマンションの耐震性に目を向けるようになった人も多いでしょう。これも、あるひとつの事実によって想像力が喚起された例です。

 人は、それまで見たことも聞いたこともないことに対して想像力を働かせろといってもなかなかできるものではありません。しかし、「歴史は繰り返す」という言葉があるように、僕たちが忘れていたり知らなかったりするだけで、案外、世の中に起きていることにはある特定のパターンがあったりします。

 大きく飛躍した企業、爆発的に売れたヒット商品、突如ブームになったお笑い芸人など、世の中に起きているあらゆることが想像力を養う糧になり得ます。

 大事なのは、それを何かのサインやパターンとして受け取るのか、単なる事象として見過ごしてしまうのかという姿勢の問題なのです。

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