昨年10月1日に消費税のインボイス制度がスタートして半年以上が過ぎた。国税庁によるとインボイス登録件数は今年3月末時点で445万件に上るという。しかし、インボイス制度をめぐっては負担増への拒否反応とともに、「仕組みが複雑で事務処理の手間が増える」といった批判が少なくない。実際、消費税の納付や所得税の還付金について、現場では混乱が起きているという――。
インボイス制度の導入により、課税売上高1000万円以下の免税事業者のままでいると、納品する取引先は仕入税額控除が適用されず、負担増となっていく懸念がある。それゆえ、課税売上高1000万円以下でも課税事業者となるケースが増えているが、その場合は負担増となるうえ、「適格請求書(インボイス)」の発行や保存、これまでは不要だった「消費税の確定申告」を3月末までに所得税の確定申告とは別途で行なわなければならなくなった。
そうしたなか、現場では「消費税の納付」をめぐる混乱が起きている。昨年、課税事業者となり、今年3月に消費税の確定申告を行なった都内在住個人事業主の40代男性Aさんはこう話す。
「先日、国税庁から『消費税の督促状』が届いてびっくりしました。私は所得税の確定申告と同時に消費税の確定申告も済ませています。なので、所得税の還付金と消費税の納付額が足し引きされて、プラスなら還付があり、マイナスなら消費税の納付書が送られてくるものだと思っていたのですが……」