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【SNSに蔓延する自覚ない悪意】ネットリンチが現実のいじめと異なる点 “自分の力で社会を動かす”ことで覚えるゆがんだ快楽

SNSには「自覚なき悪意」が蔓延している(イメージ)

SNSには「自覚なき悪意」が蔓延している(イメージ)

 多くの人が日々利用しているSNS。暇さえあればスマホでLINEやインスタグラムなどをチェックするという人も多いだろう。しかし、SNSによるいじめや誹謗中傷、そして依存、さらには犯罪の温床となるなど、さまざまな負の側面があるのも事実だ──。【SNSの闇・第2回。第1回から読む

動画が脳の記憶や感情のコントロール機能に影響

 日常の一部になったSNSは、長い時間をかけて私たちの心身を蝕んでいく。スマホ依存防止学会代表の磯村毅さんは、「スマホ利用者の低年齢化」と「家庭内暴力の増加」の関係を分析する。

「令和5年の犯罪白書によれば、子供による家庭内暴力の認知件数(警察を呼んだ数)は、平成25年頃から急増しています。特に小学生は現在年間881件と、10年前の約10倍にもなる。もちろん要因は多岐にわたりますが、最近の変化に限っていえば、この10年間で小学校高学年のスマホ所有率は約1割から半数以上へと激増しています。スマホ使用の急激な低年齢化による、脳や精神への影響は見逃せないでしょう」

 その一因とされるのが、TikTokなどの動画系SNSだ。SNSで動画を見続けて脳の前頭前野の疲労が蓄積し、血流が低下すると、キレやすくなることがわかっている。脳神経科学者の枝川義邦さんが解説する。

「TikTokなどを見続けるなどして脳に疲れがたまってくると、記憶や感情のコントロールを担う前頭前野が充分に働かなくなり、もの覚えが悪くなったり判断力が落ちたり、ちょっとしたことで怒りが抑えられなくなるなど、さまざまな悪影響があります。

 まだ脳が発達段階にあり情緒のコントロールが不充分な未成年ほどではありませんが、大人の脳にも同様の影響があると考えられます」

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