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一度でも有害な動画を閲覧すると類似動画を“おすすめ”される恐怖 子供向け動画に見せかけた「エルサゲート」も大きな問題

延々と類似する動画を“おすすめ”されてしまう恐ろしさ(イメージ)

延々と類似する動画を“おすすめ”されてしまう恐ろしさ(イメージ)

 多くの人が日々利用しているSNS。暇さえあればスマホでLINEやインスタグラムなどをチェックするという人も多いだろう。しかし、SNSによるいじめや誹謗中傷、そして依存、さらには犯罪の温床となるなど、さまざまな負の側面があるのも事実だ──。【SNSの闇・第3回。第1回から読む

閉ざされたコミュニティーの中で過激化する思想

 大学生と社会人の2人の息子を持つ、静岡県に住む主婦・B子さん(54才)が語る。

「コロナ禍では、東京でひとり暮らしをしている長男が心配でなりませんでした。通勤の間に感染しないか、きちんと栄養のあるものを食べられているのかと……少しでも健康に気を使ってほしくて、SNSで免疫力を上げたり感染予防になるといわれているサプリや食べ物を調べ上げ、マスクと一緒に毎週のように送ってあげていました。

 あるとき、いつも情報共有してくれるフォロワーの一人が“コロナは世界政府がでっち上げたデマで、ワクチンには人口削減計画のためのマイクロチップが仕込まれている”と教えてくれたんです。半信半疑でSNSを調べていると、少しずつ同じことを言う人が増えてきて“真実”に気づくことができました。もちろん、慌てて長男に連絡して“真実”を伝えましたよ。何度も根気よく説明したんですが、すごい剣幕でもう連絡してこないでと言われて、着信拒否されてしまって……どうしたら息子を気づかせてあげられたのでしょうか?」

 実は、B子さんのように過激な思想に陥ってしまうケースは“SNSならでは”といえる。AIによって表示される投稿が選別されるため、使えば使うほど、自分の投稿と似た内容のものや、同じテーマのものばかりが選別され、「おすすめ」として表示されるのだ。

 SNSの炎上問題などを分析する、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一さんが解説する。

「テレビや雑誌ではあらゆる情報が自動的に目に入りますが、SNSでは自分と似た考えや同じ意見だけを見ることになる。このため、陰謀論のような極端な意見でも複数人が集まって賛同することで増幅され、先鋭化、過激化していく傾向にあるのです」

 閉ざされたコミュニティーの中で思想が過激化すれば、いくら現実世界で家族や知人に否定されようと「自分は真実に気づいているのに、どうしてわからないんだ」と、他者を攻撃するようになるケースもある。

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