5年前に噴出した「老後資金2000万円問題」がここにきて「4000万円問題」に倍増している。もはや投資は「お金持ちがするもの」という認識は薄れ、「老後の生活を守るための必要事項」となった──だが、年を重ねてからの投資にはいくつもの“落とし穴”がある。
「もう60才を過ぎて人生も後半。今後の暮らしもなんとか乗り切れるだろう」というのは、残念ながら甘い考えかもしれない。この人生100年時代を「老後資金4000万円問題」を抱えて生き抜くためには、なんらかの方法で老後資産を増やすことが必須なのだ。
では、どうやって増やすか。体が元気なうちは働き続けるというのももちろん選択肢の1つだが、いま話題の新NISAなどを中心に、近年は投資を始めるシニアが急増している。そんな中、60才以上の投資初心者が「やってはいけない投資」があることを、胸に刻んでおきたい。
不動産投資は失敗したときのダメージが桁違い
年2~3%もの上昇率で物価高が続いている昨今、雀の涙ほどの金利しかつかない「銀行預金」だけでこの大インフレ時代に太刀打ちできるはずもなく、銀行に資産を預けるのは“望ましい投資”とは言えない。
だがそれよりも避けるべきなのは「たんす預金」だ。ファイナンシャルプランナーの野原亮さんが言う。
「銀行預金はある程度はしておくべきですが、必要以上のたんす預金は金利がまったくつかないのはもちろん、盗難や自然災害で丸ごと失うリスクがあるため、銀行預金よりもおすすめできません。
資産増を狙った投資も60才以降は注意が必要。特に退職金が入ると気が大きくなりやすく、失敗を招く最大の要因とも言えます」