100年ぶりにフランスの首都・パリで開催された五輪は17日間の熱戦を終えた。日本が獲得した金メダル20個は2004年のアテネ五輪の16個を抜いて海外開催での最多獲得数を更新。総メダル数も45個となり2016年のリオ五輪の41個を上回った。また、日本代表の選手たちだけでなく、選手を支える日本企業にとっても、高い壁への挑戦が実る結果となった。
大会最終盤の陸上男女マラソンでは、日の丸メーカーのアシックスが復活を懸けて選手をサポートした。かつては2000年シドニー五輪の高橋尚子、2004年アテネ五輪の野口みずきら金メダリストの足元にはアシックスのシューズがあったが、近年は米ナイキの「厚底シューズ」の大ブームが到来。市場を席巻していた。
アシックスでは2019年11月、当時社長の廣田康人氏(現会長)が直轄の「Cプロジェクト」を立ち上げ、反撃に転じる。Cは「頂上」を意味する。開発コスト度外視で進められたプロジェクトの結果、2021年には2種類の走法にマッチした新商品「メタスピード」を発表。パリ五輪に先駆けては今春に「メタスピード」の第三世代をリリースして、今夏の大舞台に挑んでいた。
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