ドナルド・トランプ氏が米国大統領選に圧勝。株式市場はどのように動くのか。高配当株投資で現役会社員ながら資産1億8000万円超を築いた億り人・なのなのさんに話を聞いた。
なのなのさんは現在、日本株330銘柄、米国株70銘柄、日本のREIT(不動産投資信託)40銘柄の計440銘柄を保有しているが、今後はトランプ氏の「米国第一主義」が強まることを見越して、米国株の比率を上げ、日本株の比率を少し下げていく方針だという。
(以下、なのなのさんが注目する米国株関連の投資先を一覧表で紹介)
5つ購入したとしても26万円強
では、米国株にどのように投資しようとしているのか。
「米国株で注目したいのは個別銘柄ではなく『ETF(上場投資信託)』。米国の個別株の情報を調べるのは簡単ではないし、ETFであれば複数の企業を組み入れているので、そもそもリスク分散がされている。分配金もあり、個別株よりも安心して持てると思います。また、ひとつの業種に偏るというのも避けたほうが無難。米国株ETFのなかでも偏りが出ないように、セクターやテーマも分散させておく必要があると思います。同じように分散投資する仕組みでは、一般的な投資信託(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)など)もあり、好みのほうを買うといいでしょう」
なのなのさんが具体的に注目する米国株ETFは別表に記載した通りだ。
「代表的な指数である『S&P500』をはじめIT関連、小型株、金融、ヘルスケアの有望な米国企業に分散投資できるようになります。表にあるETF5銘柄を合わせても日本円換算でざっと26万円強で買えます(*11月中旬時点)。また、ETFのほかに、個別銘柄ではトランプ政権下で独禁法の規制が緩む期待からグーグルの持ち株会社である『アルファベット』も注目しておきたい」
期待する銘柄、見送りたい業界
一方、日本株でもトランプ相場が追い風となる銘柄、トランプ氏の政策に左右されずに成長が期待できる銘柄があるという。
「建設機械で世界2位のコマツ(東証プライム・6301)は北米市場に強みを持ち、SBIホールディングス(東証プライム・8473)は最高値更新が続く暗号資産(仮想通貨)や各種ローンなども展開しており、日銀の利上げに伴う金利上昇による業績向上も期待できます。
また、トランプ政権に左右されずに着実な成長が期待できる銘柄としては、ペイペイやLINEなども展開するソフトバンク(P・9434)、船舶用の塗料でアジア圏の比率が高い中国塗料(東証プライム・4617)などは注目でしょう。
私の銘柄選びのポイントは『配当利回りが4%以上』で『業績が右肩上がり』であること。このなかでは中国塗料の株価が高値を更新しているため、配当利回り3%台となっていますが、ほかは配当利回り4%超となっています」
上昇期待の銘柄とは対照的に、「いまは見送りたい銘柄」もあるという。
「関税が強化されることを考えると、基本的には米国への輸出比率が高い銘柄は業績圧迫が懸念されます。業種でいえば『自動車』『機械』『半導体』など。もちろん企業によっては輸出だけでなく現地で工場を拡充するなど対策を講じるでしょうから、それらの業界のすべての企業の業績が圧迫されるわけではないですが、きちんと調べないと買いにくい。
それからハリス氏が落選したことによって、民主党政権で重視されてきた『EV』関連や『太陽光』関連の日本株もトーンダウンするのではないかと見ています。それらの銘柄はこれまで期待が高く、株価も安い水準ではなかった。しばらくは見送ったほうが賢明かもしれません」
最後に、「買い時」「売り時」のタイミングをアドバイスする。
「株式投資は下がった時に買って、上がった時に売るのが基本。この先、日経平均が『3万6000~4万円』のレンジで動くなら、個別株に投資していても、日経平均が3万6000円付近になったら『買い』、4万円に近づいたら『売り』を目安として考えておくといい。株価が上がっているからつられて買ってしまうと高値掴みになりかねないので、ご注意ください。もちろん情勢次第では上にも下にも抜けてくる可能性はありますから、そのときは臨機応変に対応していくのがよいでしょう」
【プロフィール】
なのなの/兼業投資家。大学時代から投資歴20年以上。当初6年間は赤字だったが、高配当株をメインとした2008年以降は16年連続で黒字。2021年に1億円達成し、現在の保有資産は1億8200万円。著書に『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える「爆配当」株投資』(KADOKAWA)。