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藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

【損切りの賢い使い方】損益通算、繰越控除で節税しよう “塩漬け株の売却”で確定した利益に対する税額も抑えられる

投資家にとって“損切り”の賢い使い方とは?(写真:イメージマート)

投資家にとって“損切り”の賢い使い方とは?(写真:イメージマート)

 資産運用をおこなっている際に、損失が出ているのは残念なことだが、損失を出すことで税金が安くなることがある。それはどのような場合か。節税につなげる具体的な方法は。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第119回は、「損益通算、繰越での節税」について。

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 投資家として、年末に向けて確認すべきことのひとつは、今年1年間の各資産での利益と損失の合計です。負け越していれば、残念ではありますが、その“負け”を節税に有効活用しましょう。

損切りを節税に使おう

 NISA口座は別として、課税口座で株や投資信託の取引をしている場合は、譲渡益や配当金、分配金に税金がかかります。特定口座の「源泉徴収あり」を選択していれば、基本的には、確定申告は必要ありません。利益に応じた税金を証券会社が代行して納税してくれます。

 ここで、かりにA証券で確定した利益が出ていて、B証券で評価損が出ている塩漬け株があれば、まさにこの塩漬け株を節税の切り札に使うことができます。

 たとえばA証券で100万円の利益が確定しており、B証券ではマイナス50万円の塩漬け株があるとします。そのまま何もしなければ、100万円の利益に対して、20万円(*所得税15%+住民税5%)の税額となります。

【*2037年までは所得税に復興所得税0.315%が加わる】

 ところが、B証券で塩漬けになっている株を年内に損切りすれば、A証券の利益100万円と、B証券の損失50万円を“損益通算”することで、税額は損切りする前の半額の10万円ですみます。

損失のある銘柄を保有し続けた場合と、損切りをして損益通算をした場合の税額の違い

損失のある銘柄を保有し続けた場合と、損切りをして損益通算をした場合の税額の違い

 特定口座の源泉徴収ありの場合、すでにA証券が納税していますので、確定申告をすることで、50万円が還付されます。50万円の損切りはつらいですが、10万円還付されるのですから、何もしないよりはずいぶんお得です。

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