飲酒や車の免許取得など、若い頃はできることが増えていく“嬉しい関門”だった「年齢制限」。それが逆に歳を重ねたことが理由で「できなくなること」が出てきてしまう。
高齢者の年齢制限は、こんなところにもある。都内で夫婦2人暮らしを続ける60代のA氏宅では、長年共に暮らした飼い犬が亡くなって以降、ずっと新しい愛犬を求めていたという。
「夫婦だけでは家中がシンとして、会話も途切れがち。やっぱり犬が飼いたいと、飼い主に捨てられたりして動物愛護団体に保護された犬の里親に応募したのですが、団体から断わられてしまって……」
NPO法人「犬と猫のためのライフボート」理事長・稲葉友治氏は言う。
「犬や猫は長生きすると20年くらい生きるので、生後1年以内の子犬・子猫の里親になっていただく条件を上限60歳としています。
ただし、成人している子供さんなど後見人がいて、里親さんが亡くなった後も後見人として犬猫の面倒を見てもらえると判断すれば譲渡が可能です。後見人がいない場合でも、『里親の年齢―60』以上の年齢の犬猫であれば、譲渡するケースはあります」
A氏夫妻はいま、犬の里親になるため、離れて暮らす子供たちを説得している。
※週刊ポスト2019年9月20・27日号