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鉄道ファン憧れの「全線完乗」に立ちはだかる“完乗の定義”

ローカル線の魅力は乗らないと分からない(写真はJR五能線の驫木駅)

ローカル線の魅力は乗らないと分からない(写真はJR五能線の驫木駅)

 鉄道好きには様々なジャンルがあるが、中でもメジャーなのが“乗り鉄”。鉄道に乗るのが好きな彼らが目指す究極の目標のひとつが「完乗(=鉄道網を乗り尽くすこと)」だが、JR全線の完乗を目指して全国を飛び回ってきたTさん(40代・男性)は、完乗目前にして色々なルールがあることを知り、奥深さに驚いている。

 Tさんが鉄道に目覚めたのは20代後半のこと。飲み歩きが好きで、鉄道で全国各地の繁華街を巡っている内にローカル線の魅力に取り憑かれ、やがてローカル線に乗るのを目的に旅に出かけるようになった。気付けば北海道のJR全線を乗り尽くし、難関の東北や四国も制覇。十数年を掛けて、JR全線制覇まで残り数パーセントまで達したが、ここに来て完乗の定義がぐらついているという。

「きっかけは、自分が乗った区間が“未乗”とカウントされたことです。私は自分がいつ、どの路線に乗ったのかを、あるソフトで管理していますが、久々にそのソフトを見ると、乗りつぶしたと思った地域の乗車率が100%になっていません。震災から復旧した際にルートが変わったため、その区間は乗っていないものとみなされたようです」(Tさん。以下同)

 ルートが変わっていれば、当然車窓も変わってくるので、乗り鉄としてはもう一度乗りたくなるもの。Tさんは改めてその路線に乗りに出かけたが、気になったTさんが調べてみると、他にも色々な“トラップ”があるという。

「全国には上下線の線路が離れている区間がありますが、鉄道ファンによっては、上下線に乗ることを乗りつぶしの条件にしている人もいます。例えば、上越線の群馬県と新潟県の県境付近がそれで、私はたまたまその区間は上下線に乗っていますが、何を基準に“離れているか”というのは難しい問題です。

 列車の中には貨物線を走るものもあります。例えば湘南新宿ラインの一部の区間は貨物線を通っています。湘南新宿ラインなら1時間に何本も走っていますから、乗車するのは難しくありませんが、臨時列車しか走らないような区間もあります。こちらも乗りつぶしたいところですが、きりがありません。

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