超低金利時代、銀行に預けてもお金はほとんど増えない。近頃は、三菱UFJ銀行が一部預金から「口座管理手数料」を徴収する方針も明らかになり、預金に利子がつくどころかマイナスになる時代だ。
資産を減らさず安心して老後を送るためにはどうすべきか。国際金融に詳しい経済評論家の豊島逸夫さんが話す。
「何よりもまず、今後日本の『円』だけを持つことは大きなリスクになります。今後は、世界の“安全資産”とされる『金』と、世界で最も強い通貨『ドル』の2つをバランスよく持つことが大切です。一般に、国力の強い国の通貨が買われ、弱い国の通貨は売られます。そのため、少子高齢化で人口が減少する日本円の価値が下がっていくのは確実です。
5~10年先を見れば、円は売られて1ドル=130~140円程度(現在は110円前後)の円安になるでしょう。一方アメリカは、高齢者が増えている一方で世界中から移民の若い労働者が集まり、稼ぐ力は今後も持続するとみられます。長い目で見れば円よりドルに軍配が上がるでしょう」
だが、老後を迎える20~30年後となると、アメリカ経済がどうなっているかは誰にも予測できない。
「そこで、金の登場です。投資の世界には、『金2000年、ドル200年』という言葉があるほど金は時代を超えて信頼される資産です。現に、過去10年の金価格は約2倍近くまで上昇しています。また、世界の金融市場では、経済が不調になると金が買われ、好調になるとドルが買われる傾向があります。2つの資産に分散して保有しておくことで、状況がどちらに転んでも損しにくくなるのです」(豊島さん・以下同)