新型コロナウイルス感染拡大の日本経済への影響は少なくない。ただでさえ昨年10月の消費増税の影響が残る中で、大勢の人が集まるイベントなどが次々と中止に追い込まれ、「一斉休校」や「在宅勤務」の広がりなどで景気の冷え込みが懸念されている。
そうした中で世界の金融市場を襲った「コロナ・ショック」。OPECプラス協議の決裂に伴う原油価格の暴落も加わり、日経平均株価が節目の2万円を割り込んだばかりか、米ニューヨークダウが過去最大の下げ幅を記録するなど、世界同時株安の様相を呈している。
このまま株安が続けば、株式でも運用されている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産も大きく毀損され、場合によっては年金生活者の支給額を引き下げなければならない事態も起きかねない。
しかし、カブ知恵代表の藤井英敏氏は「ウイルスで経済は死なない」と断言する。どういうことか。藤井氏が続ける。
「たとえば『コロナ・ショック』で実体経済に100のマイナスがあっても、一方で“巣ごもり消費”の高まりでプラス70の効果があるかもしれない。そうすると実体経済への悪影響は差し引いて不足する30を政府がお金を出して穴埋めすれば支えられると考えられます」
実際、政府は「一斉休校」に伴う休業補償(会社員に日額8330円/フリーランスや自営業に日額4100円)を打ち出したように、今後も新型コロナ支援策を拡充していくのは間違いないだろう。
「新型コロナウイルスの感染拡大で実体経済に悪影響が及ぶのはわかっていることで“見えない恐怖”ではない。そこで企業や家計が困窮するようなら政府がお金を出すし、直接的に出せなくても減税など財政的な手も打てる。まして戦争などとは違って、国民の命を守ってウイルスに打ち勝つべく政府がお金を出すことに反対する人はいません。つまり、ウイルスとの戦いで政府がお金を出せる以上、ウイルスで経済が破綻することはないのです」(同前)
新型コロナウイルスという「見えない恐怖」がもたらす「見えている経済の危機的状況」は人の手で救いようがあるということか。