新型コロナウイルスの経済への影響は広範な範囲に及ぶが、特に大きなダメージを受けた飲食業や小売業、観光業などは、職場の女性の比率が高い業種でもある。つまり、コロナ禍における不況は女性の雇用を直撃しているのだ。
仕事を失い、貯金が底を突けば借金をせざるを得なくなり、借金が積もって返せなくなれば自己破産が待っている。司法書士法人杉山事務所の杉山一穂代表が指摘する。
「コロナ禍によって、自己破産予備軍の女性は確実に増えています」
男性よりも女性が増えている理由を、杉山さんはお金の使い道の違いだと説明する。
「男性が借金をする多くは、外に出て浪費するケース。飲み会やギャンブルを自分のお金でまかなえなくなったときですが、コロナで飲み会も減り、ギャンブルができない自粛期間もあった。しかし女性の場合は、ネットショッピングやエステで組んだローンを返せなくなるケースが目立ちます」
こうした女性の出費は、コロナ禍によって加速した。
「家にいる時間が長くなり、一日中テレビを見るようになったのですが、通販番組を見ているとつい買ってしまうんですよ。『コロナが終わったらこれを使おう』と、あれこれ買ってしまいました。一つひとつは1万円くらいなんだけど、気づいたら月に10万円以上の買い物をしていたんです」(48才、主婦)
「しばらく出社する予定がなかったので、レーザーでのシミ取りと二重まぶたのプチ整形手術を受けました。クーポンを使えば数万円のはずでしたが、事前診断の結果、施術内容が増えて35万円ほどかかりました。術後は痛みで家事をする気にもなれず、食事はウーバーイーツで済ませて食費もかさみましたね」(50才、百貨店勤務)