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東京都競馬:ネット企業として評価できるストック型成長企業

 東京都競馬(9672):市場平均予想(単位:百万円)

東京都競馬(9672):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 東京都競馬(9672)は「大井競馬場」や「伊勢崎オートレース場」といった公営競技施設を、競馬主催者である地方公共団体(特別区競馬組合)に賃貸するほか、地方競馬の在宅投票システムを貸し出す独自のビジネスモデルを展開しています。

 歩合賃料を収益モデルとするストック性の強い企業で、特にここ数年は在宅投票システム「SPAT4」が成長をけん引しています。

 同社は1949年に“復興財源確保に向けた競馬再開のため”その開催場である競馬場の建設・管理を担う民間施設会社として設立されました。公共性に富んだ施設の提供を事業目的としており、祖業の競馬場やオートレース場のほか、遊園地(東京サマーランド)や大規模物流関係施設(勝島地区倉庫群など)、大型商業施設(ウィラ大井など)を建設し、これらの施設賃貸事業も展開しています。

 2019年12月期におけるこれら事業の売上構成比は、公営競技事業が63%、遊園地事業が11%、倉庫賃貸事業が19%、サービス事業が7%となっています。

注目ポイント

 足元の業績は好調です。大井競馬場や伊勢崎オートレース場での無観客開催、東京サマーランドの休園による売上減を、SPAT4の伸びがカバーする展開となっており、予想を大きく上回る業績となっています。低コストの販売チャネルであるSPAT4の成長により、粗利益率は38.4%⇒44.2%、営業利益率は30.6%⇒37.5%と大幅改善しています。

 また上半期は想定を超える業績となりましたが、通期計画は据え置きとされており、上振れの可能性があります。

 なお、コロナによる影響を取り除いてもなお利益水準は上がっており、営業利益率は2015年の25.6%⇒2019年度には32.1%に。ROEも4.7%⇒8.0%に上昇しています。またROEと同様にROAも5.9%⇒8.0%に改善しており、全体的な経営効率が上がってきていることが確認できます。

 業績成長により、財務基盤も安定して強さを維持しています。

 純利益水準を超える設備投資を行っていることから借り入れを行っており、175億3700万円の有利子負債がありますが、DEレシオは0.25倍と低い水準に収まります。また現金などの手元資金を考慮するとネットDEレシオは0.09倍にまで下がります。流動比率は3倍を超えており、自己資本比率は72.7%と高い水準となっています。財務面は健全といえます。

 株主還元については、配当金は前年と同じ50.0円とする方針です。安定配当を基本方針としているほか、株主優待制度も設置しており、東京サマーランド招待券や大井競馬場株主優待証・優待席証などを贈呈しています。

 株価はSPAT4の成長ポテンシャルが評価されているものと思われ年初来+65%のパフォーマンスを見せています。上場来高値を更新する展開となっていますが、PERは30倍に届いておらず、ネット企業として見れば上昇の余地を残していると考えられます。また倉庫事業による安定収益基盤が拡大していることも考慮すると、株価は堅調推移を続けるポテンシャルあると思います。

【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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