老後を安心して暮らすには、年金制度をしっかり理解し、正しい「働き方」「もらい方」を選択することが重要だ。そうしたなか、年金制度改正法が今年6月に公布された。新しいルールをしっかり把握しておく必要があるだろう。
「妻も厚生年金加入」で夫婦の受給額UP
パート妻など短時間労働者は、「年収106万円」を超えると扶養家族から外れ、自分で厚生年金や健康保険に加入して保険料を払う必要がある。
現在、このルールが適用されるのは従業員501人以上の大企業のみだが、2022年10月以降は101人以上、2024年10月以降は51人以上の中小企業まで適用拡大される。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。
「これまでパート妻は目先の保険料負担を避けて『106万円の壁』を超えないよう働きましたが、今後適用拡大が続いていくことを考えれば『保険料を払わない=年金が増えない』というデメリットのほうが大きい。
むしろ、これからのパート妻は106万円の壁を乗り越えて厚生年金に加入し、しっかり働いて将来の年金を増やしたほうがいい。厚生年金は70歳まで加入できる。平均寿命が長い女性は、働いて自分の厚生年金を増やすのが賢い選択です」
夫と同様に国民年金加入期間が60歳時点で40年未満の妻の場合、「60歳以降のパートで厚生年金に加入」すると満額受給を実現できる可能性もある。
これからは、夫婦ともに「60代になっても、できるだけ長くバリバリ働く」が新たな常識となる。
※週刊ポスト2020年10月16・23日号