高齢の親が住む実家。モノを捨てないうえに、帰る度にモノが増えている――。そんな“片づけられない親”に頭を抱える人は多い。親にとっては「もったいない」という価値観や思い出があるモノでも、子にとっては不要品と感じるモノもある。なかなかモノを捨ててくれない親にどう対峙しているのか。
30代の男性会社員・Aさんは、60代の一人暮らしの母親が実家から公営住宅に引っ越した。狭くなったせいもあり、モノにあふれていると嘆く。
「僕ら子どもが独立し、父が亡くなったこともあり、母は実家から公営住宅に引っ越しました。その時に、僕らがある程度は荷物を処分したのですが、それでも母の反対で捨てきれなかったモノも多く、引っ越し先にモノがあふれることに」(Aさん)
Aさんは処分するかどうか迷った荷物は「とりあえず」引っ越し先に収納し、その後に片づけるという認識だったが、今思えばその考え方は「甘かった」と振り返る。
「部屋が狭くなった分、モノを減らさなければならないのは当然ですが、母はその認識が低い。父の遺品や僕たちの子ども時代の写真、賞状、絵など、捨てられずに大量に保管していました。これらは可能な限りデジタル化すればいいとは思いますが、捨てられなくて仕方ないと思う側面もあります。でも、数十年前のホテルのアメニティやポケットテッシュ、父が勤めていた会社名が入ったカレンダーやタオルは、もう捨てていいのでは」(Aさん)
50代の主婦・Bさんは、80代の母親が住む実家が“プチゴミ屋敷”状態になっていたと語る。介護施設への入所が決まり、片づけなければならなかったが、気が重かったという。