お正月に実家に帰省すると、不用品が気になるようになったという人は少なくないだろう。親も自分も元気なうちに、実家の片づけについて考えたいものだが、実際にやろうとすると、様々な困難が立ちはだかる。実家の片づけ経験がある人たちに実情を聞いた。
50代の主婦・Aさんは、80代の親の家の片づけに苦労したばかり。一人暮らしの母親の認知症が進行したことから介護施設に入るため、家を整理することになったが、想像以上にモノが多く、最終的に便利屋に協力してもらったという。
「古い写真や私たちきょうだいが使っていた教科書や本といった子どものもの、様々な書類、衣類などがどんどん出てきて、中にはホコリやカビでむせてしまうほど長年放置されたものもありました。びっくりしたのは、はさみが14本も出てきたこと……。20年前に足が悪くなり始めてから、移動しなくてもすぐ手元にあるようにしたかったのでしょうか。最終的に軽トラ2台分のゴミが出ました」(Aさん)
片づけを進める中で特に印象的だったゴミがあったという。Aさんが続ける。
「大人数用の皿、大型の調理器具がたくさん見つかりました。昔は親戚が頻繁に訪れていて、よく料理上手な母が振る舞っていたんです。『もう歳なんだから出来合いのものでいいからね』と言っても、頑なに断り、むしろそのひとときを何よりの楽しみにしているようでした。
でも、ここ5年は認知症の進行で、母のもとを訪れる人が減りました。たぶん、みんなでワイワイきたときのことが忘れられないのでしょう。『いつ子どもや孫が来るかもしれないから……』と捨てようとしませんでした。私が捨てても、ごみ収集場まで取りに行ってしまったようで、また元の場所にありました」(Aさん)
こうした経験からAさんは、実家の片づけについてある教訓を得た。いつも、友人らに相談を受けるとこうアドバイスするという。