団塊の世代が後期高齢者になる2025年、認知症高齢者は700万人を超え、保有する資産は187兆円にのぼると試算されている(第一生命経済研究所)。そうした資産をどう管理するのか、家族ぐるみで考えなくてはならない時代が目の前に来ている。認知症に詳しい弁護士の川崎翔氏が指摘する。
「認知症になる前に、信頼できる家族や親族が資産の管理や意思決定の代行をできるようにしておく必要があります」
そのために用意された制度の筆頭が「成年後見人」だ。
「成年後見人制度は、認知症などで財産を管理できない人の代わりに代理人が財産管理や意思決定を行なう制度です。
ただし、認知症になってからだと本人や家族の望む者が後見人に選出される確率は低く、25%ほど。多くは我々のような弁護士や司法書士などの専門職が選任され、料金も初期費用が約30万~50万円、その後も月額約2万~6万円ほどかかります」(前出・川﨑氏)
認知症になってから利用できるのは「法定後見制度」といい、親族の申し立てにより家庭裁判所が後見人を選任する制度になる(別掲表参照)。
この場合は親族が後見人に選ばれにくく、「親のお金なのに家族がまったく関与できない」「不動産の売買に家庭裁判所の許可が必要」といった不自由が起こりやすい。